対話型システムのアーキテクチャ(MVCの仲間達)

対話型システムのアーキテクチャとして代表的なものにMVCがあります。そしてMVC以外にもさまざまなアーキテクチャがあります。それらのアーキテクチャ間で用語が違っているなど理解しにくかったので、自分が理解している範囲でまとめてみました。仲間達と書きましたが全く異なる視点で設計されているものもあります。

MVC(Model-View-Control)
アプリケーションをControl(入力)-Model(処理)-View(出力)に分割する。Modelをデータと捉えるとControlにビジネスロジックを書くことになりうまく分割できない。命名が誤解しやすい。データバインディング・Observerパターンを使うとModelからViewの更新はControlの補助無しに行われる。Webのサーバ側アプリケーションやWindows Formsでもデータバインディング・Observerパターンを使えない処理ではControlがViewを呼び出す。
Document-View
MVCのMがDocument、VCがViewに相当する。Windows Forms 等ではキーボード・マウス入力の大半を自動で処理してくれるので、独立したControlが必要になることはあまりない。そのようなUIではMVCのVCが一体化したDocument-Viewが向いていると思われる。
PAC(Presentation-Abstraction-Control)
アプリ-ケーションを複数のエージェントに分けて管理する。1つのエージェントはPresentation(入出力)-Control(処理)-Abstraction(データ)からなる。エージェント同士の独立性を保つことを重視していると思われる。エージェント間はControlを通じて細いインターフェースでやりとりする。プラグインを実装する、異なるプロセスで協調動作する、異なるマシンで協調動作するなどの用途に向いていると思われる。
BCE(Boundary-Control-Entity)
アプリケーション開発のロバストネス分析過程で用いられる。Boundary(入出力)-Control(処理)-Entity(データ)に分割する。処理をどのEntityに持たせるべきかを検討する場合にも用いられるので、できあがったソフトウェアの構造がBCEに分離しているわけではない。
MVVM(Model-View-ViewModel)
WPF、Silverlightで用いられている。View(入出力)-ViewModel(View用の処理)-Model(Viewに特化しない処理)。
アーキテクチャ対比表
MVC Document-View PAC BCE MVVM
1 Control View View Presentation Boundary View
2 Model Document Control Control ViewModel
3 Model
4 Abstraction Entity

Windows Formsの開発ではDocument-Viewを使っています。View上のボタン使用可/不可の状態はModelで管理し、ObserverパターンでViewを更新しています。画面遷移はModelが遷移先のModelを作成することで行っています。レイヤーアーキテクチャによってModelはさらに複数の層に分けています。

PHPによるWebアプリケーションではMVCを使っています。Controlはページ毎に持っていて、ページへの要求の解釈、Modelの呼び出し、ビューの呼び出しを行っています。Modelは各種更新処理、表示用のデータロードを行っています。Viewではテンプレートにデータを渡して、HTMLを組み立てます。

どちらにしてもModelにはViewへの参照は持たないもののViewを意識した処理を行っています。

ViewとModelを分離しなかった場合、同じロジックを複数の画面で使いたい場合に、ロジックが入力部品と結びついているため再利用が困難です。最小限ViewとModelを分離するとこのようなことが防げます。

これらのアーキテクチャを採用することで、アプリケーションに秩序が生まれ、どこに何が書いてあるかわかりやすく、生産性・保守性が上がる点がメリットであると考えています。

参照