PHPでの開発では、以前は秀丸を使っていましたが今はNetBeansを使っています。同じコードを作るのにNetBeansなどのIDEを使用することによって生産性が向上します。ここではさらに踏み込んでIDEの機能を利用することを前提にアーキテクチャを変えた例を紹介します。
以前は、PHPが動的型付け言語なのでクラスメンバーに応じたメンバー名の補完はできない物と思っていました。ですからReflectionパターン考察で触れたように、データベーステーブルの行などのエンティティはクラスで表現するのではなく、項目名をキーに持つ連想配列として扱っていました。
NetBeansではメンバー名をほぼ正確にリストアップし、コード補完してくれます。
1 | /** |
関数にPHPDoc形式でコメントを書いた場合には引数の型を認識してくれます。エディタで/**<Enter>
と入力するとドキュメントコメントの雛形を作ってくれるので、コメント作成の手間を減らしてくれます。右の例で@param type param
のtypeの部分を適切な型名に置き換えれば良いのです。
また、コンストラクタ呼び出しの結果を代入した変数も型を認識してくれます。
それ以外の部分で型を認識させたい場合は、/* @var $varname type */
の形式でコメントを書きます。
IDEのコード補完を使用することを前提にエンティティをクラスで表現すれば開発効率をもっと上げることができると期待できます。
実際にやってみると次のような効果が出ました。
- 単純な綴りの間違いや、勘違いによって存在しない項目にアクセスするミスを大幅に減らせた
- メンバーにコメントを書いておけばコントロールキーを押しながらクリックすることでコメントが表示されるので仕様確認が簡単になった
- メンバー記述後に定義部分にジャンプできるので定義部の修正が楽になった
- コメントを書くことによるメリットが大きいのでこまめにコメントを書くようになった
注意点としては、データベースから読み取りや$_POSTなどのリクエストパラメータは連想配列形式になっているので、クラス形式への変換が必要となることです。このような変換は単純作業なのでツールを作成してコードジェネレーションしています。このとき各項目はそのデータ型に合わせて文字列・数値・日付等に型変換を行うことで型の不一致による不具合を避けています。
アーキテクチャを変更することで改めてIDEのありがたさを実感しました。